協同組合から株式会社へ

協同組合から株式会社へ

 8月25日に、首都圏ソフトウェア協同組合の会員でもある首都圏コンピューター技術者協同組合が臨時総会を招集して、重要な決議を行いました。中小企業協同組合法に基づく事業協同組合あった組織を、会社法に基づく「株式会社」に切り換えるという理事会の提案を総会決議として承認したということです。


 1800人弱の組合員のうち出席が400人強、委任がざっと800人で、3分の2以上の投票ですが、出席者の90%が決議に賛成、10%が反対という圧倒的多数で、首都圏コンピューター技術者協同組合は「首都圏コンピューター技術者株式会社」に衣替えすることを決定しました。


 協同組合から株式会社に変わるとどういうメリットがあるのか。初めてこの話を聞いたとき、その疑問が湧きました。技術者協同組合の理事長で、首都圏ソフトウェア協同組合の理事でもある真杉氏によると、根本的な問題は今年4月に本格的に施行された新しい協同組合法の規定が「1000人以上の会員をもつ協同組合」に対して、厳格なコンプライアンスを要請してきたことだったといいます。たとえば、これまで加入した組合員に対して、共同受注の実績が上がるまで一定期間、組合費を免除するなどの便益を図ってきましたが、協同組合法を厳密に適用すると、これは組合員を平等に取り扱う組合法のルール違反に当たる、というのが、行政当局の考えのようなのです。


 「1000人未満」の組織の時には厳格には適用されなかったものが大きく成長した組織には適用されることになる。しかも、周知のように、昨年施行された新会社法は法令順守を厳しく要求する内容が特徴で、協同組合法もこれに相応して厳しい法令順守を盛り込んでいます。協同組合にも、もちろん多くのメリットがありますが、一方、平等の原則を含めて、組織が機動的に運営できない足かせも多くあります。その点、株式会社組織のほうが会員サービスを機動的に展開できる余地が多いというメリットは見逃せず、会員サービスを向上させることを目標にしながら、今回の衣替えに至ったようです。


 昨年の新会社法の施行、日本版SOX法の内容を含む金融商品取引法の施行など、目の前で時代は大きく転換し始めています。われわれもその変化に適応すべく、柔軟に物事に対応する覚悟が必要になったようです。

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