メガ・リージョンの攻防

メガ・リージョンの攻防

編集長が推す「この1冊」
「メガ・リージョンの攻防」
細川昌彦著
東洋経済新報社発行 1800円+消費税
2008年 9月4日 

「グローバル経済の下では経済活動の基本単位は国ではなく、地域だとよく言われるようになった」のだそうである。この「地域」というのは、メガ・リージョンという言葉に相応しているという。経済的な角度から見ると、「世界は数十のメガ・リージョンによって成り立っている。それぞれが国境などの枠にとらわれず、人材と企業を呼び込む競争をしている」というのが著者の認識である。

 米国では、ニューヨーク、シリコンバレー、グレーター・ワシントン、欧州ではフランクフルト・ラインマイン地域、アイルランドなどである。日本では東京がその資格をもつ地域である。しかし、著者は、それ以外の地域でもメガ・リージョンの資格をもつ実力を付けなくてはならないと主張する。その候補はグレーター・ナゴヤ、北部九州圏、京阪神といった広域を一つの地域とみなして、人材と企業を引き付ける有効な具体策を提示する。
 
 本書ではシリコンバレー、グレーター・ワシントン、フランクフルト・ラインマイン地域を紹介し、次いで東アジアを検討する。中国沿海州の3つの地域、台湾、シンガポール、香港、釜山、タイを検討し、その間に起こっている都市国家、物流ハブ、医療ハブを目指した熾烈なレースを見てゆく。
 
 そうした視点から、グレーター・ナゴヤ、北部九州圏、京阪神の国際競争力向上の方策を探ってゆく。
 
 著者の主張は地域を企業と同様に経営体と見るべきだということだ。その観点から、地域は明確な目標を掲げて人材と企業を呼び集めるのである。特に印象に残るのは地域の競争力強化の手段として大学を重要視する点だ。著者は「大学は地域の人事部」と指摘する。お金をかけてでも優秀な学生を奨学金付きで世界各地域から集め、地域の企業に就職させるのである。力ずくで人材と企業を集めるのである。
 
 地域づくりは戦略である。そのことを説得力もって伝える好著である。

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