企業情報活用最前線 -最新キーワードで読み解く業務システムの最新動向-

企業情報活用最前線 -最新キーワードで読み解く業務システムの最新動向-

日時:2008年7月17日
場所:東京・大手町サンスカイルーム
講演:MM総研所長 中島 洋
主催:日立ソフトウェアエンジニアリング

 大手ユーザーや代理店向けのセミナーの講演。『日経情報ストラテジ』の主要企業CIOアンケート調査の結果を読み解きながら、大手ユーザー企業がどの分野にシステム投資の重点を置いているか、また、その背景にある意味を解説した。

 最も注目すべきなのは「ビジネスインテリジェンス」。アンケート調査の項目では「経営者向け意思決定支援システム」と表記されているが、この最近のシステム呼称が「ビジネスインテリジェンス」に相応している。過去2、3年の重点投資の中では質問19項目中17位、つまりビリから3位だった。それが今後2、3年の重点では上から5番目へと急浮上してきた。複数回答で、30%強、3分の1の企業が今後の重点に挙げている。
 「今後の重点」でのトップは昨年の調査に引き続き「内部統制」で、複数回答で、全体の3分の2に当たる66%が今後2、3年の重点項目に挙げている。これは日本版SOX法が今年度から適用されることになって、遅れ馳せにIT投資を急いでいるものだ。筆者はかねて内部統制はIT投資の最重点課題だと主張してきたが、なかなか理解されず、間に合うかどうか、締め切りを過ぎてからレポートに取り組む学生のようなあわただしさである。それが3分の2もあるというのは嘆かわしい。
 さらに、単数回答で、最も重点を置く項目を聞くと、第1位が「内部統制」でおよそ18%の企業だが、第2位には「経営者向け意思決定支援システム」が現れる。
 実は、「内部統制」も「経営者向け意思決定支援システム」も、企業全体に何が起きているのか、そのエッセンスを経営者に直感的に理解させるための道具で、最近の言い方では「見える化」の道具である。経営者に経営の「見える化」を提供するのが、IT投資の方向性である。
 ところで「ビジネスインテリジェンス」というのは分かりやすくいうとどういうことか。筆者は各所の講演で、少し乱暴だが、CIA(米国情報機関=セントラル・インテリジェンス・エージェンシー)に使う意味での「インテリジェンス」を、ビジネス領域で適用することだ、と述べている。様々な情報を解析して、国家の今日明日、取るべき決定を予め準備しておく。CIA長官が定期的に大統領にブリーフィングするように、情報システムが経営者に状況を伝え、迅速な意思決定をあおぐ。未来映画やスパイ小説にあるように、最先端技術は軍や情報機関がまず、利用し、少し古くなると民間に開放されて、社会や企業経営にも使われるようになる。情報システムも軍や情報機関から民間に開放されつつある、現在は開放のプロセスだ。

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