おきなわ就活塾

おきなわ就活塾

おきなわ就活塾
重田 辰弥 (日本アドバンストシステム会長)著
1800円+消費税
新宿書房
2008年2月発売

 満洲生まれ、両親の故郷、奄美・加計呂麻、大島を経て那覇に移住した「沖縄出身」の著者はその後、東京でソフトウェア会社を創業、規模が拡大するとともに沖縄出身者の採用に努めて沖縄出身の後輩たちをビジネスマンに育成し、さらに、業界に働きかけて沖縄出身の若者たちに就職の機会を開くために奔走してきた。その奮戦記がこの著作の半分である。

 沖縄県民の若者のための著者の活動が心地よい。また沖縄出身の社員の気質や仕事ぶり、採用社員の母親の肝っ玉ぶりの紹介など、結局は大騒ぎを社内に撒き散らした後退社した社員に対する目配りを含めて、著者の経営者としての暖かい精神が活写されている。

 残りの半分は、著者の半生記である。これもまた面白い。奄美、満洲、沖縄と父母とともに育った少年期から、琉球大学入学、早稲田大学への進学、家庭教師アルバイトの生徒集めの活動、さらに学費値上げ反対運動での逮捕・拘留など、1960年前後の時代を背景に青春を過ごした著者の経験が軽いタッチで記
されている。その後、沖縄の二大マスメディアの琉球新報社への就職、東京での記者活動の思い出も読んでいて楽しい。

 巻末にはさまざまな媒体に寄稿した折々のエッセイが掲載されている。著者は早くからブログをもって、ほとんど毎日、新しい文章や写真を載せて、筆者にもその案内がメール送信されてくる。元々が新聞記者だった上に、こうした「物書き」であるために、この本も軽快な筆致(キータッチ?)で、どんどん読み進められる。

 著者の活動は、本業の情報サービス会社「日本アドバンストシステム(NAS)」の経営(現在は同業CIJの傘下に入り、著者はNAS会長に)、沖縄の若者に就職の機会を提供するEmEO会長、関東沖縄IT協議会会長、関東沖縄経営者協会会長、沖縄の魅力を宣伝する「美ら島沖縄大使」、さらに世界の沖縄出身者の組織であるWUB(ワブ=ワールド・ウチナンチュ・ビジネス・アソシエーション)の支部、WUB東京の会長を務めた後、現在はWUB東京最高顧問など、幅広く、日本や世界での沖縄の地位向上に奮戦している。その活動が下敷きになってつづられる本書は、沖縄出身者、沖縄ファン、また、IT関係の皆さんにも興味深く、楽しく読める本である。

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