日本企業生き残りの条件 ~情報投資の行方~

日本企業生き残りの条件 ~情報投資の行方~

2008年5月28日
主催:IT協会(企業情報化協会)
場所:東京・芝公園日本能率協会会議室
講師:MM総研代表取締役所長 中島洋

 一昨年から、IT協会主催で開催されている「グループCIO交流会」第3期の初回、主査として参加している筆者のオープニング講演である。今年の大手企業の情報化システムの行方について指摘した。

 日本企業の情報システム投資の現在の最重要テーマは「内部統制」で、これは、米国でSOX法が成立し、日本で日本版SOX法(金融商品取引法)の議論が始まったころから筆者が主張してきたところである。ここ2、3年は、対応に後れた企業を中心に内部統制に追われるだろうが、早手回しに内部統制対応を済ませた企業の次の主要テーマは何か。急浮上しているのが「ビジネスインテリジェンス」である。社内外から大量の情報を収集、整理して、経営陣や現場の責任者らが迅速な決断ができるようにするシステムである。そのための情報抽出、整理加工、見やすい形式での表示など、AIやら可視化技術やらを総動員するシステムである。

 経営環境が激変しているときに経営トップや現場責任者にとって課せられた課題は、迅速で正確な判断である。それを実現するのがビジネスインテリジェンスである。

 日経情報ストラテジのCIOアンケート調査によると、「過去2-3年の重点IT投資」(複数回答)では約20項目中で下から2-3番だが、「今後2-3年の重点IT投資」では上位5-6番まで急上昇している。もちろん、「今後」でトップはダントツで「内部統制」だ。さらに「最重点のIT投資」の設問では、トップの「内部統制」に次いで、「ビジネスインテリジェンス」が第2位。ガートナーグループが実施している欧米のCIOアンケート調査では、06年から3年連続で「ビジネスインテリジェンス」がトップである。その傾向からみると、日本の「ビジネスインテリジェンス」への注目度は今後、さらに上昇してゆくことが予想される。情報システム担当者は「ビジネスインテリジェンス」の勉強を急ぎ、始めなければなるまい。

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