沖縄県企業誘致セミナー-人材育成をどう行うか-

沖縄県企業誘致セミナー-人材育成をどう行うか-

日時:2007年6月5日
主催:総務省・沖縄県
場所:東京・千代田区都道府県会館
コーディネーター:経済ジャーナリスト  中島洋
パネリスト:
沖縄クロス・ヘッド 社長 新居昭生
オキナワデジタルモーション 総括プロデューサー 入江貞四郎
琉球ネットワークサービス 社長 上原啓司
EmEO沖縄 社長 平良忠信
CSKコミュニケーションズ 社長 中島 英也
GNA 社長 組込技術推進プロジェクト理事長 宮里敏夫


 沖縄県に企業誘致するための東京で開催する定例のセミナーである。毎回テーマは変わるが、今回は、企業進出して、沖縄には果たして人材がいるのか、という本土企業の不安に応えようというものである。結論からすると、すでに人材活用できるほどにレベルの高い人材がすでに豊富にいる、というわけではない。しかし、素直で、訓練すれば伸びる可能性のある人材である。また、英語への抵抗感がなく、これも「きちんと訓練すれば」の条件付であるが、本土の若者に比べれば英語を必要とする職種を任せられる資質を持っている、というのが沖縄の人材の特質である。


 ここから、コールセンター、コンタクトセンターのコミュニケーターとしては競争力があるという結論が出てくる。まだ、コールセンターや今後、展開が予想されるBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の基地として、沖縄県に期待できることは多いと思われる。CSKコミュニケーションズは沖縄の拠点を増強するほか、蓄積したノウハウを沖縄方式として本土の各地に展開し始めている。


 しかし、ソフト開発やシステム設計の分野では「即戦力」を期待するのは難しい。琉球ネットワークは、本土の仕事を沖縄に持ち帰るだけではなく、東京、名古屋に顧客をもち、その仕事を本土で経験させることでオン・ザ・ジョブ成果を挙げている。今回、主席しなかった他の大手進出企業でも、沖縄で新卒を
採用した後、本土で数年の通常の研修過程を経て、資質や希望を聞きながら沖縄に帰している、というのが正道である。


 しかし、沖縄には本土でコンピューター技術者として経験を積んだ後、帰郷して起業しているソフト会社、システム会社も育ち始めている。また、中堅ソフト会社でも、沖縄に進出して、本土の仕事を持ち込んでいるケースが見られるようになった。社員が、数年間ならば沖縄のオフィスで仕事をするのを希望
している、というので、精神的な開放とモチベーションへの刺激のために進出する企業が出ている。さらに本土でシステム会社の業務について経験をもつ若手の技術者のUターン希望もある。いま現在、沖縄に在住する人材だけではなく、幅広い視野で人材を確保する手立てを考えれば、本土よりは人材確保が容易かもしれない。

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